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2007年8月17日 (金曜日)

ひめゆり (2006) - 柴田昌平監督

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 終戦の日にドキュメンタリー映画「ひめゆり」とCOCCO(コッコ)のライブ演奏を見た。長い夜だった。言葉にならない重いものが、身体の中で石みたいに転がった。相も変わらず、この国と世界の10年、20年先の事をかんがえるとあんまり安心できるものではない。いろいろな意味で。



 終戦の日に暑い中上京してくださったおばあちゃん、本当にありがとう。廣島や長崎とは全く異なる戦争体験談を話してくれてありがとう。その日、ぼくらとおばあちゃんは何かしら繋がったのだと思う。未来のために、過去と現在とを。



 おばあちゃんたちが余生をかけて心に抱いている不安というのは、ぼくらの中にも同じようにあると思う。そしてまた、その不安を乗り越えて生きていかなくてはならないけれど、具体的には何もできないと言った非力さを感じるのも共通している事だと思う。ぼくらは若い分、新しい何かを、また次の世代へ繋げないといけないのだけれど、ぼくらはぼくらで何の術も知らないのも事実。そんな中で、こうした素晴らしいドキュメンタリーが生まれ、貴重な体験を学べるという事に、希望を感じる。

 無理してるようにも見えたけど、明るく何かしら前向きに扇動するように、ライブをしたCOCCOさん。ぼくよりいくつか若いのに、そういう社会的な視野と自分のできる事を既に確信して実行しているのが凄いなあ、と思いました。そして、この貴重な記録を、政治的・論争的な映画に仕立てなかった柴田監督は素晴らしい方だと思いました。



 当たり前の平和的思想がどこかで捻れて、得体の知れない方向へ行こうとする。そこには魔物のような恐ろしい力が存在している。この力がなんなのか、よくわかりもしないで巻き込まれてゆく。62年以上前の時代で、最悪の方向へ、そんな力に飲み込まれてしまったおばあちゃんたちの声に耳をすますと、ぼくができるかぎりの事は何なのか、少しだけ見えてくるような気もする。生きている限り、ぼくらは、”そこ”へ繋がっているのである。

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