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2008年3月17日 (月曜日)

ドビュッシー再考、又は、かくも美しき響きが夜を包む也

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 ドビュッシーの音楽について言えば、やはりピアノである。



 56年の生涯で、ソロピアノだけで78曲を遺している。フランスの大地から遠い海に囲まれた日本で違う時代に生きているオイラにとっても、これらはすべて(すべてか?ふむ?)偉大なる遺産である。

 本人が、自分の曲をどう解釈し、どう弾いたのかはとても気になるところだが、残念ながらほとんど記録がないようだ。(実はピアノ・ロールの録音が2曲あるらしい。)



 素人のオイラでも感じることができるように、ドビュッシーの音楽には長調や短調にとらわれない自由な和声の流れってものがある。ジャズよりも崇高な感じだが、この時代で既にジャズ的である。まあ、バッハもそうなんだけど、あれだけ複雑な作曲で、たくさんの音が縦にも横にも陳列する様はバッハ並みである。(ちなみに同じぐらい音の多いリストは晩年を除いてあんまり和声の流れを感じないし、ほぼ旋律をメインとしたロマン派だったように思う。)



 で、むつかしい話はこのへんでやめて、オイラは長い間、ドビュッシーピアノ全曲集でいい録音のをほしがってました。だって、Werner Haasというヒトの全曲集を持って愛聴してたのですが、なにぶん、せっかくのドビュッシー音楽なのに、響きの良さがあんまり伝わってこないぐらい録音がイマイチだったんだもの。ちぇっ。



 マイ好みな演奏は、とにかくドラマチックにしすぎない事。Werner Haasの演奏でも、さすがにフォルティッシシモみたいな爆音が連発で聴かされると疲れちゃうのですね。尊敬するリヒテル様の演奏は今にも音の精霊がでてきそうなくらい雰囲気ある演奏ですが、ときどきしか楽しめない。(とにかくあれはあれで凄い演奏ですが)



 今回、やっと買ったのが、フランスの大学で音楽教授をされてるジャック・ルヴィエというヒト。これがいいんですわ。耳から鱗はがれちゃいますがな。ありがとう、朝のN●Kラジオ!ジャック先生の演奏との出会いはラジオでした。



 なんて美しい響き! ゆるぎないテンポの調整で、旋律と和声がとぎれない! すべての音と音が繋がってる感じがよくわかります。



 ドラマチックにしなくても、普通に楽譜どおりの強弱をつけていれば、ドビュッシーの音楽はとても明解になるのがよくわかります。でも、たぶん、これは予測なんだけど、相当技術に余裕があって、精神的にも強く、集中力が持続できないとできない演奏なんだな、と思います。



 そして、エスプリ。日本にも音と音の間の独特の静けさってものがありますが、このヒトの弾くドビュッシーには他のピアニストからは聴いたこともない美しい”間”があります。しかも間があっても音と音がちゃんと繋がっている感じのする知的さもあります。粋です。これが粋といわずにいかに? 

 やっぱりフランス音楽は、フランス人の卓越したヒトにやってもらうのが一番なんだろうなあ。。。それにしても4枚組で3500円は安いです。ある意味安すぎです。こんなに幸せをくれるのに!



                *



 日本とフランスはとても近いものがあると思う。でも圧倒的に違うのは、やはりあっちは一神教であることでしょうね。徹底した個人主義ってのは、徹底を極めるヒトがとんでもないものを作ってしまう。それは良くも悪くも多神教の日本人にはできないことなんだと思う。”管理”や”コントロール”を一神教のヒトがやると、ちょっと怖いぐらい凄い仕事をする。日本人は、コントロールをキビキビやりすぎると疲れちまう。あいまいさが反って凄い仕事をしちゃったりする。これは意識と無意識の違いにも似ている。わかりやすく言うと、武士道は無意識に近い。こうして最終的に物事を考えると、一神教もスゲエが、多神教のオイラもへんちくりんな人種なのだなあ、と実感する。



 話がむずかしくなってきちゃったかなあ。。。

 うまく言えないけど。何かを盲目的に追求するのは美しくて、

 良いことだ、と思うぞ。誰にも迷惑かけなければ、ね。



 ではまたこのへんで。ごきげんよう。



 ドビュッシー:ピアノ作品全集

 クロード・ドビュッシー(1862 - 1918)

 ジャック・ルヴィエ(ピアノ)

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