« シューベルト、ふたたび | トップページ | Once (2006) - John Carney »

2008年10月29日 (水曜日)

アンスネスの夜

 10/27 音色の魔術師、若き巨匠、レイフ・オヴェ・アンスネスのコンサートに行ってきました。初台オペラシティホールも初めてだったけど、とても心地よい空間でした。



 アンスネスって若いです。ぼくと3つしか違わない。でもなんだかベートーベンなんかは巨匠!って感じです。まだ30代で巨匠!ってのは、大げさなようですが、そこが天才なんでしょうね。 かつて1960年代、演奏の時代が生んだ天才ピアニストもみんなこんな感じだったのだろうなあ、と思いました。



 技術って凄い。凄いだけでやはり演奏は面白いからです。でも勿論、アンスネスには秘めた熱情みたいのが一気に燃え上がるような精神がありました。前半が大曲。ヤナーチェクの「霧の中で」とシューベルトのD.958。どちらとも立派な演奏だったけど、今ひとつ心に残る何かがなかったのでした。リズムや記号には忠実な人ですけど、歌うところで歌わない。なんかひねくれてんのかなあ、と思ったほど。シューベルトの美メロはすべて控えめ。まるでスーパーテクを身につけたモーツァルトが「そんなに深刻になるなよ」と笑っているかのような、 美メロ。なんだか道化師っぽい。シューベルトっぽくなかったのです。でも展開部での低音のうならせ方とか息のながーい精神性がもの凄かった!まるで渦巻きの波で暗い海の底に飲み込まれていく感じだった。

 

 もともとビートをつけるのが好きな人のようですね。正直、こういう人は面白い。なんだかフォルテで低音部のパッセージを繰り返す時はかならずビートっぽくなる人。身体付きからして、体育系のような。。。新しいピアニスト像です。



 ドビュッシーはこれまたドビュッシーぽくないけど、とても美しい。名人芸のようなアルペジョでも音がパッセージごとに光る光る!なんて豊かな感性なんだろう。最後は、王道のようなベートーベンの月光(#14)で締め。サービス抜群です。拍手喝采。



 アンコールはドビュッシーのアナカプリの丘。ぼくも大好きなベートーベンの13番の3楽章と4楽章。素晴らしかった。最後だけ知らない曲だったんだけど、スカルラッティ493。ちょうど先日にポゴレリチのCDを買ったんだけど、収録されてなかった。とても良い曲だったので、今度探してみることに。



 今後が楽しみなピアニストです。あと10年したらどーなっちゃうんだろう? ピアノってやっぱり呼吸だと思う。自分が弾きたいように弾くには呼吸がコントロールされてないと弾けない筈。アンスネスの表現には全てふかーい呼吸が備わっていた。でかい手と深い呼吸。これからの時代のピアニストはある意味身体能力の高い人が息の長い技術力、精神力、そして演奏力が備わっていくのだろう。またいつの日か演奏の時代がくるかもしれない。グールドファンなワタクシは、別にライブはそこまで重要とは思ってないんだけど、やっぱりライブは必要なものなんだと思います。音楽は永遠であってほしい。

|

« シューベルト、ふたたび | トップページ | Once (2006) - John Carney »

M u s i c」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アンスネスの夜:

« シューベルト、ふたたび | トップページ | Once (2006) - John Carney »